Adventures in Ville

生まれも育ちも奈良県民なワタシが、東京という大都会のど真ん中でいろいろ出くわす冒険記です。

カサンドラの産後クライシス 〜その2〜

出産した病院で5泊した後、木曜の午前中に退院した私は、そこから2週間ほど、実家の母に手伝いに来てもらうことになっていた。

 

これも、当初私は里帰り出産するもの、と思っていたのに、「2人に与えられた子どもなのに、最初に2人で育てないのはおかしい」という話に納得してしまった私は、実家から遠く離れた地で出産する決断をした。

 

実家の母とあまり折り合いが良くないオット氏だったけれど、出産直前に、

 

「お義母さんに、産後は手伝いに来てもらった方がいいよね。」

 

と言い出し、母も私も意外な提案に驚きつつも、ぜひぜひと迎え入れた。

 

1LDKの狭いアパート暮らしのため、木曜&金曜は、仕事に行って帰って来るだけのオット氏は気を遣って近くの実家で寝泊まりし、金曜の夜、アパートに帰って初めて私の実母と私、赤ちゃんといった計4人で夜を過ごした。

 

そして、事件が起きたのは土曜の昼間だった。

 

木曜、金曜の2日間で、沐浴の手順をなんとなく掴んだ私と母は、土曜もその段取りでちゃっちゃとお風呂に入れる準備をし、さぁいざ沐浴、という時、

 

自分がやると言わんばかりに、急にオット氏が素っ裸の赤ちゃんを抱き上げた。

 

率先して育児に関与してくれることはありがたいことなので、ヒヤヒヤしながら様子を見つつも、やはりそこでそんなことして、次どうするの!?状態になった頃に、ぶっきらぼうに赤ちゃんを空中で手渡ししようとするオット氏。

 

それまでのヒヤヒヤ感と、この状態からどうしろと!?という無責任さから、腹立ち紛れに、

 

「違うから!もうやるから、そこどいて!」

 

と。4年半経った今、ある程度客観的になって当時の様子を書きしたためてみても、あの時の私の発言は、いたって妥当な発言だった。

 

…オット氏が、「定型」だった場合は。

 

きっと、定型だったら

 

「あ、ごめん、で?ここからどうやるの?」

 

とか、そもそも最初から連携も取れてないのに自信満々で1人で沐浴させようとはしないって。

 

でも、ウチは違った。特に、オット氏のこだわりの傾向には、「母より母になりたい」というのが著しいため、私の発言=「あなたは必要ないのよ」と変換されてしまった様子。

 

急に顔色が変わり、言葉を発しなくなったオット氏に気づいたのは、沐浴をおわらせて、服を着せた後のこと。

 

私は、慣れない沐浴をおえ、ひと段落したと思ったら、オットは、必要なワイシャツやズボンをひとしきり山リュックに詰め込んで、無言で家を出て行ってしまったのである。

 (つづく)